俺にだけは、素直になれよ。~幼なじみとヒミツの同居~
四人がけテーブルに向かい合わせに座っていた、俺と美月。
すると、タケルは俺らの横の空いた席に遠慮なく座ってきた。
「俺、今日のおまえの走り見て、絶対陸上部に入って欲しいと思ってさ!」
満面の笑みで勧誘してくるタケル。
アイドル顔負けのこんなイケメンに、そんな笑顔を向けられたら、女だったらイチコロだろうな。
けど、残念ながら俺はそっちの趣味はないんだな~。
「せっかくだけど、俺、こっちでもサッカー続けたいと思ってるからゴメン」
小学校一年のときからずっとやってきたサッカー。
俺が、転校先をこの高校に決めたもうひとつの理由は、サッカーの強豪校で有名で、オヤジもここのサッカー部だったからだ。
「うちのサッカー部は強ぇもんな。けど、マジで残念だな。大地なら陸上でも間違いなく活躍できんのに」
「ははっ、ありがとな」
「つーか、マドンナ様と幼なじみってマジかよ?超ウラヤマシーんだけどっ」
タケルは、美月のほうにチラリと目を向けると、またすぐに俺に視線を戻し、日焼けしたその頬がほんのりと赤くなっていることに気づいた。
まさか、コイツ、美月のこと……。