俺にだけは、素直になれよ。~幼なじみとヒミツの同居~
そのときだった。
「いい加減、そのへんな呼び方やめてもらえる?」
それまで、俺らの会話を黙って聞いていた美月が、眉間にシワを寄せながらタケルを見てそう言った。
「……え、」
嫌悪感丸出しの美月に、若干ビビり気味のタケル。
美人が怒ると、こうも迫力があるんだな。
「美月でいいから」
「……え?えっ!?呼び捨てしても、いんすか?」
何故か敬語で、大きな真ん丸い目をキラキラとさせるタケル。
「そんな呼ばれ方されるくらいなら、まだ下の名前を呼び捨てされる方がずっとマシ」
「うぉ~!大地!今の聞いたかっ?」
美月のことを呼び捨てにできることがそんなに嬉しいのか、タケルは俺の両肩を激しく揺さぶってくる。
「おい、カレーこぼれるからやめろって」
「おー、わりっ。つい興奮をおさえらんなくてさ。俺、ずっとマドンナ様……いや、美月ちゃんのファンだったからさぁ!」
……ファン??