俺にだけは、素直になれよ。~幼なじみとヒミツの同居~
同居なんて聞いてない!【美月side】
朝と同じように、キンモクセイの香りを感じながら自転車を走らせる帰り道。
「……ほんとにビックリしたな」
思わずひとりごとがこぼれる。
だって。
今朝、このキンモクセイの香りと同時に、ちょうど大地のことを考えていたから。
高校生になった大地は、どうなってるかなって。
一目だけでいいから、会いたいなって。
そしたら……。
いきなり、大地が目の前に現れたりするんだもん。
しかも、まるで初めて会う人みたいに、ものすごい美少年になって──。
大地のことを思い出しただけで、急に心臓の鼓動が加速していく。
私は、それを紛らわせようとペダルをこぐスピードをあげた。