俺にだけは、素直になれよ。~幼なじみとヒミツの同居~


ウソでしょ?


またみんなで私を驚かせようとしてるだけでしょ?


だって、ふつうの神経してたら、年頃の男女をふたりだけで一緒に住まわせるなんてこと絶対にしないもん。



「年頃の娘ひとり、この家に残して行くのはお父さんもお母さんも心配なんだよ。でも、お父さんたちが信頼してる朝陽たちの息子の大地が一緒に住んでくれたら、お父さんも安心してアメリカで仕事ができる」


「ちょっとまってよ、お父さん。そんなこと、勝手に決めないでよ!」


「美月、大地がいたら防犯に役立つぞ。昔から、どんな強い相手からでも美月ちゃんを守れるようにって、アイツは武道も習ってたしな」



おじさんまで何言ってるの?


そういう問題じゃないから。


私を守るために大地が武道を習っていたなんて、初めて知ったし、そこはちょっとだけ、いや、けっこう嬉しかったりしないでもないけど……。


そもそも、そんな大事な話、なんでもっと早くに教えてくれなかったの?


なんで、私に相談もなしに決めちゃうのよっ。



「ごめんな、出張の話自体、急に決まったことだったんだ。それに、大地と美月は将来結婚の約束もしてる間柄だし、一緒に暮らしても問題ないかと思ってな?



「どこがよっ。問題大ありだからっ!そもそも、結婚の約束って言ったって、しょせん子供のころの話でしょ!?」



さっきからふつうのお父さんじゃ考えらんない発言ばっかりして。


うちのお父さんって、バカなの?


頭に血が上って、カーッとなっていると。



「俺は、“しょせん子供のころの話”だとは思ってないけど?」


「は!?」



今度はどこのどいつがそんなこと言ってるのかと、振り向けば。



「……っ!だ、大地っ!」





< 48 / 355 >

この作品をシェア

pagetop