俺にだけは、素直になれよ。~幼なじみとヒミツの同居~
……そうだ。
大地が転校してきたり、いきなり同居することになって、そっちにばかり気をとられて、すっかり忘れかけていたけど。
来月は、二年生最大の行事、修学旅行があるんだった……。
二泊三日で大阪に行くのが恒例なんだよね。
「各班6人なら、男女混合でもそうでなくても構いません」
一気にザワつきだす教室。
さっそく、周りは「一緒の班になろう」と声を掛け合う中、私は誰かに声をかけるわけでも、かけられるわけでもなく、自席に座ったままでいた。
6人なんて、ハードル高すぎ。
友達がいなくて困るのは、こういうときだ。
班なんて自由決めにしないで、クジか何かにしてくれたらいいのに。
修学旅行なんて、行きたくない……。
全然、楽しみだなんて思えない……。
私は、人数枠が余ってるとこに適当に入ることを覚悟していた、そのとき。
「美月、一緒の班になろうぜ!」
ボーッと窓の外を眺めている私に届いた、元気すぎる声。
顔を見なくても、もうわかるよ。
その声は大地だってこと。