俺にだけは、素直になれよ。~幼なじみとヒミツの同居~


小さな顔に、長い手足。


背が高くて、均整のとれた体。


少し目にかかる黒髪から覗くのは、目力の強い丸い二重の目。


横から見ると、鼻も高くて。


その形いい唇が、動いたかと思えば。



「向日大地(むかいだいち)です」


「……っ!!」



彼が自分の名前を名乗った瞬間、私は絶句した。


ウソでしょ?


ただの同姓同名?


私は動揺を隠せない。



「北海道の高校から転校してきました。といっても、小学校一年まではこっちに住んでたので、帰ってきた!って感じです。それに、まさかこんなに早く再会できるとは思ってなかったからマジでビックリしたっつーか、なんつーか……」


「……っ!?」



教壇に立つ大地は、戸惑いながらもはにかみながら私を見ていた。



「え~っ。何々?どういうこと?」


「再会ってなんの話~??」



大地の言ってる意味がわかるはずもないみんなはガヤガヤとざわついている。


すると、大地は。



「久しぶりだな、美月」


「……っ!!」



私だけを見つめながら、人懐っこい笑顔を浮かべてそう言った。


その途端、より一層ざわめく教室。


だけど、そんなこと気にならないくらい、今の私は動揺している。


──“美月”。


爽やかな笑顔で私の名前を口にした彼は、私の知らない低音ボイスをしていた。


いつの間に声変わりしたの。


だけど、その笑顔を見た瞬間、やっぱりあの“大地”なのだとわかった。


でも、どうして大地は、私だってすぐにわかったの?






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