俺にだけは、素直になれよ。~幼なじみとヒミツの同居~
見れば、栗色のボブヘアに、背が小さくて、どんぐりみたいに丸い目をした、いかにもか弱くて大人しそうな女の子。
たしか、名前は……
野原さん。
私と同じで、野原さんもいつも教室の隅っこでひとりでいる印象しかない。
誰かと話してるところもあまり見たことがないし、存在感が薄くて目立たないタイプ。
その野原さんが、このタイミングで私に声をかけてくれる要件なんて、ひとつしかないよね。
「……土屋さん。よかったら、私と一緒の班になってもらえないかな?」
振り絞るような野原さんの声。
その小さな体は震えていて、大きな瞳は涙が浮かんでる。
顔だって真っ赤だし。
きっと、精一杯の勇気を振り絞って声をかけてくれたんでしょ?
「ありがとう、野原さん」
私が礼を言うと、野原さんの顔がパァッと明るくなる。
ひとりもの同士、ここは一緒に組むのが一番かもしれない。