俺にだけは、素直になれよ。~幼なじみとヒミツの同居~


三浦先輩は、カートを押して現れた大地を見るなり、眉間にシワを寄せ、ため息をつく。



「誰かと思えば、またキミ?」


「それは俺のセリフです」



それに対して、真顔で言い返す大地。



「っていうか、なんでふたりで買い物してるの?」



先輩は私と大地の顔を交互に見ると。


カートに乗っているカゴの中身を覗き込み。


なにか思い付いたような顔をして。



「夕飯の食材の買い出し?まさか、キミたち、同棲してるとか……」



……ドキッ!


“同棲”という言葉に、心臓が跳び跳ねた。


三浦先輩にバレたりしたら、あっという間に学校中に広まる。


そんなの、絶対に困る……!



「フッ、先輩。いくらなんでも、そんなわけないじゃないですか。俺たちまだ、高校生ですよ?」



ありえない、って表情を作りながら答えたのは、大地だった。




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