俺にだけは、素直になれよ。~幼なじみとヒミツの同居~
でも、その鋭いツッコミにさえ、大地は平然とした態度で。
「あ~、これですか?俺の母親の帰宅が遅いって話を美月のお母さんにしたら、夕飯に誘ってくれて。でも、カレーを作りたいのに食材が足りないから帰りに買ってきて欲しいって頼まれてるだけですけど」
大地って、昔からウソが下手で。
すぐ顔に出てバレるタイプだったのに。
いつの間に、こんなにスラスラと上手なウソをつけるようになったの?
でも、そのおかげで先輩はようやく信じてくれたようで。
「クソー!羨ましいヤツ!俺が美月ちゃんの彼氏になれたら、そのときは絶対にお母様の手料理をご馳走になってやるんだからな~っ」
先輩はそんなわけのわかんないことを言い捨てると、悔しそうにしながら私たちの前から去っていった。
「……ふぅ~~。危なかった。あの先輩、あなどれねぇな」
先輩が近くにいなくなったのを確認しながら、苦笑いする大地。
「……大地、ずいぶんとウソがうまくなったね」
こんな嫌味っぽい言い方するなんて、私って、やっぱり嫌な子だ。
大地は、怪しまれないためについてくれたウソなのに……。