サッカーばか



「あたしみたい…?」

いまいち意味が分からなくて、首を傾げていると

「そっ。あいみたいにちっちゃくて、きれいな花。」

なんて、女の子の心を一瞬でさらっちゃうような事を、無意識に言ってしまう彼は、本当に手ごわいと思う。

あたしは顔を赤くしてだまっていたら



「2人とも、心がきれいなんだね」

どこからか知らない声が聞こえた。

ふと上をみると、かわいらしいおばあさんが目の前に立っていた。

「あの……」

奏太くんが立って話しかけると、おばあさんは少しほほえんで、

「おいで、きれいな景色みせてあげる」

そう言って、歩きはじめた。

あたしと奏太くんは顔を見合わせ、ついていくことにした。





「わぁぁぁ~!」

資料館から少し離れた場所へ行き、海一面が見渡せる、
崖の付近でおばあさんは止まった。

「きれいですね。おばあさんもよくここに?」

そう、奏太が訪ねると、おばあさんは少し悲しい顔になり、

ゆっくりと、昔を思い出すような口調で、話し始めた。

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