サッカーばか


けんの名前は、加藤 けいた
小さいころ、けんたって聞こえてたから、私は勝手に'けん'って呼んでいる。

今で言う、美少年。でも、昔はそれが原因で、男子にいじめられていた。


叫ぶのに疲れた私は、まだ泣きながらけんをみていた。

すると、けんは急に私をみて

「今日から、かよの事、ゆきって呼ぶ。」

なんて言い始めた。

「へ?」

「小雪、だからゆき!
かよ、暑いの嫌いだろ?名前だけでも涼しくて、ちょうどいいじゃん。」

そう言って珍しくニコっと笑った。

「え……いや、でも」

びっくりしてためらっていると、急に整ったけんの顔が近づく

私は心臓が止まりそうになり、かたまってしまった。

「俺のことだって、けんって呼んでるじゃん。ゆきは肌白いし、ぴったり、
だから、もう泣かないでよ?」

そう言って私の頬に両手を添え、涙の跡をふいてくれた。


それから、けんは私の事をゆきって呼ぶようになり、少しずつ、けんに惹かれていった。


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