魔法と紡いだアオハル
「ノアさん!ありがとうございます」
佐藤君は、ノア君の近くに駆け寄り
何度もお礼を言っていた。
「それより、あの状態はなんだったんだ?」
「それが…僕にもよく分からないんです。」
「分からない。と言うと?」
「昼食中、急に頭の中に“黙れ”って声が聞こえたかと思うと、いつのまにか俺は2人の目の前に立っていて、口がきけないようになっていたんです。」
「ノア様。私もです」
「僕も」「俺も」
次々と言い出すクラスメイト達
「え…どう言うこと…?」
みんな何も覚えてないってこと?
頭がぐるぐる。一生懸命に私は考えた
「私たち、皆んなに怪我させられたのよぉ
佐藤君に椅子を念力でぶつけられて、
頭から血が出てとっても痛かったんだからぁ!!」
「え!俺が七瀬さんを?!」
この人達は嘘をついてるようには思えない。
真っ青になっていく佐藤君の顔を見て
私はそうとしか思えなかった。
「七瀬さん。それは本当ですか?
二人以外は誰も覚えていないようですが。」
「陽奈乃の言っていることは本当よ。
だってホラ。人の力で黒板消しを
あそこまで、めり込ませる事できる?」
半分以上の見えなくなった黒板消しを指差す。
「…」
しばらく何か考えたようだったが、
「これは、先生達にも報告した方が良さそうです」
そう言うと、ノア君はさっさと出ていってしまった