幾年の愛を



こんな大事なときに泣くなんて…
馬鹿なんじゃないの?
皆のためなんだよ?私が犠牲になったら
たくさんの人が幸せになれるんだよ?
なら…やすいものじゃない…




自分に言い聞かせるように心の中で唱え続けた…
後戻りなんてすることなんて…許されない…




「采羽!」



そう叫ばれ、下を向いてみると
クロがいた…



こんなときに貴方をみたら…戻りたくなる…
ここから逃げだしたくなる…

貴方の手を…掴みたくなってしまう…




「戻ってこい!必ず!」

「クロ?」

「俺が一生…待っててやる…」




最後のクロの言葉は耳に届かなかったけど…
できれば…私が思っていたものであって欲しいな…






そして私は、深い深い眠りについた…









       side采羽 end











 
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