幾年の愛を
「にしても、クロウが寝てる所なんて
初めてだよ…」
「え?」
「普段はね、警戒心が強くて人前では
寝なかったの」
あぁそういうことか…でもそれだと
余計に疲れてしまっているのでは?
と思い、私はクロウの頭を撫でていた。
「ん…」
「あ、起こしましたか?」
私が手を離すと何故か寂しそうに
また目をつむってしまった。
これはなでて欲しいということかな?
私が頭を撫でるとクロウは
気持ちよさそうにまた寝息をたてていた。
それを見つめていると突然何かが頭の中に流れ込んできた。
《お目覚め下さい。我が主》
声?これはクロウの夢?
いや、違う気がする。こんな感じでは
なかったはずだ。
《我らはずっと待っております》
今度は別な声が聞こえてきた。
我らってなに?何人いるの?
《もうすぐです。もうすぐで貴方に
会うことができる》
どうゆうことなの?
私は…誰かと会うの?
わからない…私はこの声が誰の
物なのかわからないよ…
「…っ…わ…采羽っ」
目を開けると焦りながら私の肩を揺らしていたクロウが目に入った。
「私…寝てましたか?」