幾年の愛を


まさか寝ていたなんて気づかなかった…
それに…何だろう…
何か大切な夢を見ていた気がしたのに
それが思い出せない…


「采羽、大丈夫?魘されていたけど…」

「え?は、はい…大丈夫…です。」


魘されているなんて…人前で寝るときは
絶対にそんなことなかったのに…
安心仕切ってるって事?
そんなことじゃだめだ…駄目なんだ…


「采羽、大丈夫か?頭が痛いのか?」


いつも無口なクロウがこんなに
話すなんて、なんか…面白いな…

私はそれが可笑しくて笑ってしまった。
クロウはそれを不思議そうに
見ているだけだった。



外の風景も変わってきた頃、
運転していた夏帆さんがいきなり
言い出した。


「申し訳ありませんが、采羽様と
クロウさんには警察署の方で下ろして
おしいと言われております」

      ドクンッ

「警…察、署…ですか」


駄目だ…震えてしまう…
前住んでいたところとはいえ
あいつ等がいると思えば怖くなる。
また、あの目で見られることが怖い。

会いたくない…聞きたくない…


「采羽?顔色悪い」


藜さんの声で我に返り、
すぐに2人に笑顔を向けた。

心配なんてかけちゃだめだ。
こんな事で手間をかけさせるなんて
嫌われたら…駄目なんだ…


「あ、そういえば警察署ってあの2人が
いたよ。紅葉と星空(カナタ)」

「え!?紅葉?」


藜さんの発言にすごくいやな顔をした
澪さんは苦笑いをしていた。
何かあるのかな?その人…


 
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