幾年の愛を


私の目の前で傷つく紅葉君
さっき私は、言ったじゃない。

『傷つけたら許さない』って

なのに…体が動いてくれない…
早く…早く助けないと駄目なのにっ


「な、んて…顔して、んだよ」

「え?」


紅葉君は自分が傷ついていながらも
私のことを気にしている。


「俺なら…平気だ…」


平気なわけない
こんなけがまでして…

「もう…やめて…」


見たくなかったこんなに怪我をする
紅葉君を…
どうして…私と関わる人はみんな…


「もうやめてっ!」


そのとき、私の周りを前とは違う
光が包み込んだ。
私はこの光をみたことがあった。


(やっと…貴方の力になれます。我が主よ)


夢に出てきた声…


その時、私の目の前に金色の髪に
ムーンストーンのような瞳を光らせた
女の人が微笑んでいた。


(我が名は千月…月を司る精霊…
ずっと貴方を見ておりました。
さぁ私をお使いください…貴方の力になれる…それこそが、我らの喜びなのだから)


私が千月の手を取ると、形はどんどん
変化していき、私の手には
長刀が握られていた。


この刀の使い方は…わからない…けど、
確信がないのに
大丈夫だと想ってしまう。



 
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