幾年の愛を


「そこだよ采羽の部屋…もう少しでクロウも
くると思うから一緒に下に降りてきてね」


「はい」



   ガチャン…



どうして…わかったんだろ…
でも、はじめて来たような感じがしないのは
確かなんだ…


ここに来たことがあるってこと?


でも、それならいつ?


小さい頃にはもうそんな環境じゃなかった。


どうして私は…知っていたんだろうか…





「はぁ…考えててもしょうがないよね」




クロが来る前に着替えておかないと…



私は自分のカバンからワンピースを1つ取り出し、
着ていた服を脱いだ。


そのときに鏡に写った自分の体にある無数の痣と傷…
これはどんな力があったって治せない…


目をつむっているとドアが開いた。


後ろを振り返るとそこにいたのはクロで
私は急いで自分の体を隠した。



「采羽…その傷は…」


「す、すみません…服を着ていなかったから…すみません」




 
< 53 / 135 >

この作品をシェア

pagetop