幾年の愛を
「そこだよ采羽の部屋…もう少しでクロウも
くると思うから一緒に下に降りてきてね」
「はい」
ガチャン…
どうして…わかったんだろ…
でも、はじめて来たような感じがしないのは
確かなんだ…
ここに来たことがあるってこと?
でも、それならいつ?
小さい頃にはもうそんな環境じゃなかった。
どうして私は…知っていたんだろうか…
「はぁ…考えててもしょうがないよね」
クロが来る前に着替えておかないと…
私は自分のカバンからワンピースを1つ取り出し、
着ていた服を脱いだ。
そのときに鏡に写った自分の体にある無数の痣と傷…
これはどんな力があったって治せない…
目をつむっているとドアが開いた。
後ろを振り返るとそこにいたのはクロで
私は急いで自分の体を隠した。
「采羽…その傷は…」
「す、すみません…服を着ていなかったから…すみません」