幾年の愛を
そう叫びながら泣く女とそれをただ
悲しそうに見つめる男の子。
多分、この男の子はこの人だ。
なんで、こんなものがみえるんだ!
そのことに気を取られていた私は
後ろから殴ろうとしていた
奴のことに気づいていなかった。
危ない、と思った時、私の前に男が現れた。
「駄目だよ。女の子を殴るなんて」
「もうやめたら?もう少しでくるよ?」
そう携帯を見せながら女の子が言うと、
不良達は悔しそうにしながら、
消えていった。
私は急いで立ち上がり、2人にお礼を言った。
「ありがとうございます」
下げた頭を上げてよくよか見てみると、
2人はとても綺麗な人達だった。
1人で見ほれていると女の子の方が
話しかけてきた。
「怪我はないみたいね。人助けはいいけど
無理しちゃ駄目だよ、采羽」
「はい、ってどうして私の名前…」
私が不思議がっていると、隣を通り過ぎていく2人は…
「いずれわかるよ、采羽」
「また…ね?」
あわてて後ろを振り返るもそこにはもう
2人の姿はなかった。
不思議な人達だったなぁ…
あ、帰らないと…また怒られる。
そうして私は家路への速度を速めた。
これから、起こることなど知りもせずに…
ー side采羽 end ー