幾年の愛を
side紅葉
何なんだよこいつらは!
倒しても倒しても増えてやがる。
このままだといつになっても采羽の
所に行けねぇ…
「おい!早く壊しやがれ!」
「わかってる」
クロウが最後の一撃をすると崩れていく氷の壁…
その向こうにいたのは『グリモアの書』を持った冬吏さん
その奥には『ミカエルの書』を持った男…
「采羽!」
クロウが駆け寄った采羽は魘されていた。
「てめぇ采羽に何しやがった」
「さぁな」
俺が飛びかかろうとするのを冬吏さんに防がれた。
「冬吏さん!」
「こいつは采羽にとって…唯一の理解者だったんだ」
じゃあなんでそんな奴が裏切ってんだよ
どうしてこいつが泣いてんだよ!
「彼女を渡せ…冬吏」
「それは無理な願いだ!」
同時に出してきたグリモアの書とミカエルの書
それを止めたのは俺らの囲む真ん中で眠っているはずの
采羽の声だった。