幾年の愛を
ポタ…ポタ…
目を開けたとき私の目からは、涙が流れていた。
とても悲しい夢を見た気がするのに思い出せない…
私は何の夢を見ていたっけ…
ズキッ
「つっ…」
思い出そうとすると頭が痛い…
どうして?
私が思い出すことを拒否してるの?
わからない…もう…いやだ…
ガチャ…
ドアの方を見ると、クロが入ってきていた。
「采羽」
ズキッ
「っ、大丈… 「来ないでっ」 采羽?」
もう何を信じていいのかわからない…
枯捺さんももういない…
たった1人だけ…ずっと信じていたのに…
「1人にしてください…」
クロは何も言わずに出て行ってくれた。
静かになった私の部屋は外に降る雨の音だけが響いた。
「采羽様」
ふと、名前を呼ばれドアの方を見てみると、
影から出てきたのは千月だった…