幾年の愛を



    side千月



「私を裏切らないで」



その言葉を私は前にも貴方に言われました。
でも、私は今の貴方の言葉の方が心に響いてくる。



「貴方の望むままにいたしましょう…
私は貴方を裏切ることなどいたしません。
ですから、安心してください」



「あ…りが、と…」



静かに目を閉じた采羽様はまた一粒の涙を流した。


この人にどれだけの絶望を見せるんだろうか…
どれだけ苦しませるんやだろうか…




「お前がそんな顔をするなんて…少し意外だったな」


「この人が傷つくと…胸が苦しいんだ」




私の後ろから出てきたのは采羽様の兄である要様の式…



「お前もこの人に仕えるなんて…明日は
槍でも降ってきそうだな…




      …陽千…     」









要様がどんな人なのかは私もわからないが
妹を溺愛しているのだけはわかる…


「俺は要の妹だから認めた訳じゃないさ…
もともと俺はこの子に仕える気はあったんだからね」




こいつが認めるなんて…すこし…いや
かなりおもしろくない…



「前のトワは好きになれなかったから
姿を見せなかったけど…」






 
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