幾年の愛を


ー side澪 ー


「あぁ~早く会いたいなぁ采羽」

「うん、采羽はかわらないね」


私達は今、話題になっている子をバス停の傍で待っていた。


「でも、本当にくるのかな?」

「確かだよ…ね?」
    
      チュンチュン


木に止まっている鳥を見ていると、
私達の方に止まる鳥は、
おかしいことかもしれないけど、
声が聞こえる。
他にもそうだ。離れてる声が聞こえてくる

まぁ私は鳥じゃなくて犬や猫なんだけど、


「早く来ないかなぁ」


空を見上げているとバス停の方が騒がしくなったのに気が付いた。
どうやら不良を注意した男がやられているらしい。
それを見て見ぬ振りをするなんて…


「私…あぁいうやつら嫌い…」

「俺もだよ…」


そろそろ見ていられず、止め行こうとしたとき、聞き覚えのある声が聞こえた。

「ねぇ…やめたら?」

まっすぐ見えるのは人でかくれてる…
けど、私にはわかる…あれは…

人を掻き分けて出てきたその人をみて
私の頬は緩んでいく。


「結構、ダサいよ?」


少し口角を上げながら淡々と言いのける様は前とは随分違く、
雰囲気も変わってしまっていたが、
正真正銘の私達が探していた…待っていた
大切な人だ。


 
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