幾年の愛を
陽千は何も言わずにあの人たちを追い返してくれた。
いつもこんな感じだ…
2人に頼ってばかりで何もできていない…
「ただいま帰りました…どうかしましたか?
采羽様」
「うぅん…大丈夫…おかえり千月」
「はい!」
千月はいつも私が話すことに笑顔で返してくれる。
魘されている私の面倒まで見てくれる。
こんなの普通はウザイと思うはずなのに
千月は言っていた。
『貴方が大好きだからこそ私は悲しんでほしく
ないんですよ?』
千月は優しすぎる…
私になんて仕えるなんて勿体ないほどに…
「早かったな千月」
「えぇ、貴方と2人きりなんて心配だったもの」
なのにこの2人はいつも喧嘩を始めてしまう。
これはどうがんばっても止められないんだよね…
「ん?…雪…」
綺麗な…雪だな…
兄が亡くなって以来、雪をこんなにマッタリと
見た事なんてなかったな…
でも、今は…2人がいるから…
「寒くなりますね」
「俺がいつでも暖めますよ?」
もう寒いだけの雪じゃないよ…
兄さん…陽千が言っていたように…
またいつか会えますか?