幾年の愛を
「刻代…要?」
嘘…だよね?
なんで兄さんの名前がここにあるの?
これはなんなの?
私は…いったいなんなの?
「ここにいたんだね、采羽」
ビクッ
私は後ろから来た冬吏さんに気がつかなかった。
あわてて後ろに後退りすると、
冬吏さんは今にも泣きそうな顔で私を見ていた‥
「だまして‥いたんですよね?」
「・・・すまない」
そこからは私の望む言葉は出てこなかった…
言ってほしかった…
『それは違う』って‥『本当だ』って‥
なんだ…何を自惚れてたんだろ…
こんなこといつものことじゃん…
なれてることなんだから‥
悲しい訳ない…
「采羽…俺は…」
「近づかないでっ」
「采羽?」
今まで私は信じ切っていた…
この人たちなら私のことを信用してくれるって
たすけてくれるって…
なのに…
「私は…『トワ』の変わりなんかじゃない!」
「違う!!俺達はけしてお前をっ」
「もういいですよ…所詮人なんか愛したら…
信じたらこんなもの…
期待した私が阿呆だったんですよ。
あなた達が愛したのは過去のトワ…
私じゃない…」