君と恋する放課後
文芸部の部室は狭くて机が3つずつ
横2列に並べられている。
両端にある棚には何かの資料らしきものが並べられているだけのいたってシンプルな部室だ。
「あ、おはよう。もう来てたんだね。」
部室のドアが開いて、ひょいっと先輩が顔をのぞかせた。
「あ、おはようございます!
今日は、HRが早く終わったので。」
「そっか、やる気があっていいね!
って、ただ読書するだけでやる気って
言っていいのかわかんないけど。」
そう言って苦笑いする先輩。
それだけで可愛すぎてキュンキュンしてしまうけど悟られないように余裕の笑顔を作ってみせる。
先輩はいつものように図書館で借りてきた本を鞄から出した。
「隣、座ってもいい?」
「えっ」
突然の言葉に頭が真っ白になった。
いつもなら真正面とか斜め前とか
一個空けて席に座ってるのに、え?!
「あ、ごめん、やだった?」
「え!いや!全然!むしろこんな私の隣でよければ座ってください!」
心臓がはちきれそうなくらいにドキドキしてる。
先輩に聞こえたらどうしよう。
隣の席なんて、ちょっと動けば肩が当たるくらい近いのに。
もう本の内容なんて入ってこない。
先輩とこんなに近くにいられるなんて
夢みたいで幸せすぎてでもすごく緊張して
もうなにがなんだかわからない。