桜の舞う世界
嘘はついていないな
それにしても無意識とはいえ
こんな巫女に神通力を通して自分の過去を見せるとは……
「君は不思議だ……」
「は?」
あ、最後の方口にでたか
どう誤魔化そうか
とりあえず、ここは……
「君の霊力が欲しい」
それを聞いた彼女は
「は?」
と言ったが
すぐに
「霊力はあげない。早く外に帰して」
と空狐に言った
「俺は空狐だ、帰りたいなら自力でやりな」
彼女はこの言葉にムッと来たが
気を取り直して別の話へうつした
「私の名前は春にちなんだ季語が入っているの」
「だから?」
「貴方の名前は?」
「はぁ?なんでそこから俺の名前の話になった」
「貴方の名前が知りたいの……いいでしょ?」
巫女は本当に思っている事だと伝えるために男の目を合わせる為顔を上げた
目が合った時男は
「なっ…///……」
っと言いながらバレないようにさりげなく
後ろを向き
「俺の名前はない。ただみな空狐と呼ぶ」
と言い今度は歩きながら
「…………解…」
と静かに言いその場を去った
その後ろ姿を見ていた巫女は
空狐が寂しそうに見えたのだった
それと同時に彼に名前をあげようと決めたのでした
……………
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