桜の舞う世界
最近覚えた男の名を呟く
「……貴方は……鈴彦……?」
「えぇ、そうですけど、あの助けていただいた男知りませんか?いつの間に居なくなってしまっていて」
「え?……貴方の他に誰かいたの?」
「巫女姫、覚えていないのですか?貴方とその男は親しい関係のように見えましたが」
「誰のことを言っているのか分からない…」
親しい関係は誰ともなっていないはず……
はず?……いや絶対。
だって記憶に無いもの
「鈴彦はどなたの事を言っているの?」
「確か名は……シズキと言っていましたね」
シズキ………誰の名なのだろう
「そのシズキがどんな人であろうと私達は妖を退治しなくては、一刻も早く」
「確かにそうですけど……巫女姫は本当に…」
「もう、寝ましょ?月の位置からして
朝日はあと数時間で出てくる」
その後の鈴彦の言葉を聞きたくなくて
思わずそう言ってしまった