桜の舞う世界







その後、数週間が過ぎた








桜が満開に咲いた頃








ふと私は目を開ける



そして








残り少ない霊力を

式神に使い皆を集めるように呼びかける







少ししてから皆が集まった








「皆…………よく、聞きなさい」






言葉を続ける








「この日まで私の面倒…………」








「…ご苦労であった………………」








皆の顔が赤い布で隠れていて見えなかった









その代わりに大きな引き戸から見える
桜の花びらが部屋に入り込み幻想的な空間を作り出してくれた
















ああ……なんて綺麗な桜の花びらだろう














「 最後は名も姿も分からない


あの人に会いたかった……っ」







思わず口にしてしまった。すると声がした







「母上?何を仰っているのか……」



私の娘だった。








私は娘の言葉を無視してこの言葉を言う


















*・・・・・・・・*・・・・・・・・・*





「 我が心なき胸の淵を思い出す事なく



我が身を去る時




貴方の瞳が縁を結ぶ鍵となる事を願う」





っと








「母上?」







「忘れるでない。この言葉を
子に受け継がせよ」










そう、娘に言い残し瞼を閉じた










*・・・・・・・・*・・・・・・・・・・*


























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