桜の舞う世界
メイドが私を呼ぶ
「お嬢様、もうすぐお時間でございます……ステージの方へ移動を」
「えぇ。ありがとう」
「ではこれで、失礼します」
話をしていた相手に一言言う私
カツ……カツ………カツ…カツ
私が歩くたび
人々は振り向き、横にずれる
そのせいか、
ステージまでの道が出来てしまっている
カツ………カツ………カツ…
若い男性陣の期待のこもった
視線を私は浴びる
そういえば………まだ、誰が婚約者になるのかみんなは知らないんだっけ?
私は婚約者の名前は知っているけど
容姿は知らないなぁ………。
相手は私の顔を知っているはず…………
…………なんか腑に落ちない。