【童話】てのひらに雨
れいくん、今日、うちのママねお迎えに来れないの。
だからわたし、ここから歩いてくね。

でもカサは?

ランドセルに入ってるとおもう。

見てあげるよ。


れいくんはわたしに空色のカサをわたすと、わたしのランドセルをのぞきこんだ。


カサはいってないよ。

ほんとに?

ほんとに。

………。


帰れない。
7時までママを待たなくちゃいけないとおもったら、また涙がでた。

けどそんなわたしを見て、れいくんはわたしにカサわたしたまま、こうしゅうでんわまで走った。


それからどこかに電話をかけて、校門まで戻ってきた。


いっつも送ってもらってるから、今日はおれが送るよ。


れいくんはこっちを見て、にこっと笑った。


わたしがおれいをいうと、いつものおれい、って言った。
10分くらい待ってると、くろい車が校門前に停まった。


ぼう、またせましたね。

おじさんが車からおりてドアをあけた。
れいくんはありがとうっていったあと、わたしを先にのせた。

それからおじさんに、わたしを家までおくってって言った。
おじさんはわたしに家の住所をきいて、車をしゅっぱつさせた。


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