ダントツ!!16番人気の翔馬くん finalステージ
『ふぅっ…翔馬っ、くん…』


『ん?』


あたしは両手で顔を覆いながら、嗚咽混じりに呟いた。


すると動きを止めた翔馬くんはあたしの腕を優しく掴み、そっと退けると、瞼をペロリと舐めてきた。


『痛い…?』


柔らかく微笑む翔馬くんを見上げながら、あたしは首を横に振った。


『そっか…』


そして小さく呟いた翔馬くんは、あたしの体にぴったりとくっつくと、キュっと優しく抱きしめてくれた。


翔馬くん?


あたしは首を少しだけ上げ、翔馬くんの髪に顔を埋めた。


するとあたしの大好きな香りが鼻腔をくすぐり、止まりかけたはずの涙がまた溢れそうになってきた。

< 45 / 80 >

この作品をシェア

pagetop