煙草
◇1

あいつ


あいつ、ことの椎名虎次朗はあたしのクラスの担任だ。年齢23歳。最初に会った時は、「なにその変な名前」って思ったけどあいつの授業を受けて1ヶ月。あたしのあいつへの印象は「名前だけじゃなくてその他ぜんぶひっくるめて変なやつ!ていうか嫌なやつ!」に変わっていた。理由なんてあいつを見れば一目瞭然!授業はてきとーだし、時々お菓子持ち込んでボリボリ食べるし、女子がスカート短くすれば「見えてんぞー。ああ、見せてるんだっけ?襲うぞゴラ」とか平気で言うし!まじ信じらんない。でもあたしが一番信じられないのは、

「春華?なにビンボー揺すりしてんのよ。授業はじまるよ?」
「え、あ、ゆっこか。次なんだっけ?」
「虎ちゃんの授業!ね、目おっけ?ちょっと気合入れてんだけど」
「・・・うん」

あいつが女性徒から多大なる人気を集めているということだ!いや女子だけじゃない。もう男子からもわっさわっさきてるとおもう。いや、性的な意味じゃないけど、ちょう人気。好感度高い。まああのルックスだし?ふつうにしてれば格好いいのは認める!けど、あたしは認めない。あんなのが教師だってことも、あんなのが人気あるってことも!ただのオッサンじゃん!

「ゆっこ目もいい加減目さまそうよ!あいつただのオッサンじゃん!平山優子!目をさませ!」
「目さますのはあんただろ野木春華チャン。だーいたいあんたの趣味オカシーのよ。」
「おかしくないよ!てかあいつの人気が憎い!日本海に突き飛ばしてやりたい!」


「ほーお。日本海ねえ。おもしれーじゃんやってみろや」


「(びっくううううううう)うううえ、あ、せ、先生、えええ」
「あ、虎ちゃんだあー。先生あたしとの約束覚えてる??次テスト80点以上とったらキスね?」
「え、嘘!?マジなのゆっこ(ありえねえきもおおおお)」
『えっずるーい!先生あたしもー!』
『あたしも!』
『あたしも!』

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