煙草
*




「じゃあ今日は123ページ開いて!」

古文の教科書123ページを開くと、なんか意味わかんない文字ばっか並んでて眠気がどばっと襲ってきた。やっばいなあハゲ丸怒ったら携帯とられちゃ、う・・・あ、でも今日はすごく・・・ねむ、く、て・・・。
重いまぶたはそのままおちて、やっぱり眠りの世界にひきこまれてしまった。



*



「春華ー?おきろー?」
「・・・ゆ、こ、」
「あんた馬鹿でしょ。もうHR終ったんですけど。もー、携帯とられちゃったよ?」
「けい、た、い?・・・・・っええええええええ!!!!」
「ハゲ丸の授業であんな堂々と。寧ろ尊敬するよお前」
「そんなんいらん!うえ、ちょ、聞いて!ゆっこ!」
「何?」
「またあの夢見ちゃった!」
「はああ?」

馬鹿にするゆっこを尻目にあたしはものすごく感動していた。だってありえないでしょ!同じ夢2回もみちゃうなんて!これやっぱ、運命じゃない?きっとあたしこの夢の中の男の子と将来結婚とかしちゃうんだよ!ううふうううう!きましたよきましたよ!野木春華ちゃんの春が!名前のとおり春がくるんだよ!お母さんありがとうこんな名前つけてくれて!ひゃあああ!

「うるせーよお前おせーよお前先生待たせてんじゃねーぞ」
「虎ちゃん!」
「え、先生!?」

浮かれているあたしの頭をつよい力で小突いたのは椎名先生だった。あからさまにあたしがうぜえなって顔したら頬をむに、とつままれた。

「とりあえずお前、来い」
「ええええちょ、先生ま、ゆっこ!」
「ばいばーい」
「見捨てる気イイイイ!!!??」
「先生襲っちゃだめだよー」
「馬鹿アアアア!!!!」

さっきまでの幸せはどこへやら、先生にずるずると引きずられ状態のあたしは絶望の二文字を背負って途方に暮れた。


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