煙草





「まァ座れや」
「・・・・」

先生の言うとおり目の前にあった椅子に座った。机を挟んで前にある椅子に先生も座ると、いつもと違って真剣な顔をするから緊張でどきっとしてしまった。

「お前、そんな俺が嫌い?」
「は?」
「いや、ほら俺ってモテモテじゃん?やっぱそんだけモテてるのなれてると嫌われる事に慣れねーっつか、まあ簡単に言うとショックなわけよ?」
「じゃあ嫌いです。ショック死しろよ」
「ズキー!100のダメージ!」

・・・こいつ馬鹿じゃないの・・・。呆れかえったあたしは失礼します、と一言いって椅子から立ち上がった。途端、すごい力で腕をつかまれてそのまま前にぐっと引っ張られる。いきなりの事に対応しきれないあたしは何がおこったのかうまく状況がつかめないでいた。ただ、わかるのは先生があたしを今さっきよりもっと真剣な顔で、それも間近であたしを見つめていることだけだ。

「手に入らねーもんほど、欲しいモンはねえなあ?」
「、なに、いって、」
「お前、絶対俺のこと好きになるよ。」
「キッモ、馬鹿じゃないの?」
「いーつまでそんな口きけるかねえ」
「いつまでも?」
「は、そりゃ楽しくなりそうだな」
「っ!!、んっ、!」

目を大きく見開くあたしを他所に先生が仕掛けてきたのは深いキスだった。高校生っていったって、あたしにはそんな経験なかったし、それに、これは、これ、は!

「(ファースト、キス!)」
「ごちそーさん?」

あたしは初めてだからうまいとか下手とかわかんないんだけどこれは明らかに上手なほうで、なんか変な感じで、たってられなくなってその場にへたり込んでしまった。ファーストキスを奪われたショックとへたりこんでしまった恥ずかしさとで顔をあげる力がない。


< 5 / 7 >

この作品をシェア

pagetop