鬼上司は秘密の恋人!?
「トーゴ、みてみて! へんしんっ! とぉっ!」
祐一は無邪気にポーズを取り、ジャンプをする。
手足が短い祐一が一生懸命手を伸ばしてジャンプする姿が可愛い。
「変なポーズ」
「へんじゃないよ! かっこいいんだよぉ!」
爆笑する石月さんに、祐一が一生懸命ポーズの説明をしていた。
「ほら、そろそろ寝る時間だから、おもちゃは片付けようね」
私がそういうと、祐一は頬を膨らませながらも「はぁい」と頷いてぺたぺた和室へと歩いていく。
「石月さん。ご飯食べますか?」
「んー、食うけど」
そう言った石月さんが、私の手首を掴んだ。驚いて顔をあげると、じっとこちらを見つめる。
「このおもちゃくれたのって、男?」
「えっと……」
なんでそんなことを聞くんだろう、と戸惑っていると、石月さんが勝手にイエスだと解釈して眉をひそめる。
「男なんだ?」
「そう、ですけど……」
「俺が編集部で仕事してる最中、他の男と会ってた?」
「男って、そういうんじゃなくて……!」
石月さんがなにを言いたいのか薄っすらと察して、慌てて首を横に振ると、石月さんは大きく息を吐き出してうつむいた。
私の手首を掴んだままダイニングテーブルの椅子に乱暴に腰を下ろし、ガシガシと自分の頭をかく。