鬼上司は秘密の恋人!?
アパートの玄関のドアが閉まった途端、抱きしめられた。
唇を重ねられ、驚いて飛び上がる。
身じろぐ私を捕まえるように、両手を掴まれ壁に縫いとめられる。
目の前で石月さんの綺麗な形の唇が薄く開く。その色っぽさに見とれていると、くすりと笑って私の下唇を噛んだ。
「ん……」
唇が触れるたび、頬と頬が擦れるたび、緊張と戸惑いで飛び上がってしまう。
びくびくと震える自分の体が恥ずかしくて、ぎゅっと手のひらを握ると、掴まれていた手首が離された。
そのまま石月さんの手が、肩に触れ、首に触れ、頬に触れる。
キスを繰り返しながら、私のうなじをなで上げ後頭部に触れる。
両手で頭を捕まえられて、緩く上を向かされると、それまで触れるだけだったキスが深くなる。
「っ、んん……」
舌が私の上顎をなぞると同時に、髪の間に長い指がもぐり、頭皮をまさぐられて、背筋がぞくぞくと戦慄く。
それでも容赦ないキスが続き、膝が震えた。
「いし、づきさん……」
なんとか唇を離し、彼の名前を呼ぶと、「ん?」と目元だけで笑いながら追いかけてくる。
すぐに唇が塞がれて、舌が絡められる。
「ん……、あっ」
びくんと大きく体が震え、ずるずるとその場にしゃがみ込む。
「だめです……、もう、立ってられません」
真っ赤になってそう言うと、こちらを見下ろす石月さんが吹き出すように笑った。