鬼上司は秘密の恋人!?
 
自然に唇がふれあい、床の上で戯れのような短いキスを繰り返す。
夢を見ているみたいで、思わず手探りで石月さんの背中に触れる。

広くて頼もしいその背中にしがみつくようにシャツを握ると、石月さんが喉の奥で小さく笑った。

石月さんは腕の中にいる私に視線を移し、「俺と会えなくて、寂しかった?」と優しくたずねた。

その優しい視線に言葉が詰まる。
こみ上げる涙を必死にこらえ、何度も首を縦に振る。

「寂しかったです、すごく。石月さんがいなくて……」

見上げれば、私の顔の横に手をつきこちらを見下ろす石月さん。
その整った顔が、苦しげに歪んでいた。

「俺も、寂しかった」
「石月さん……」

そのかすれた声に、涙が溢れそうになる。

「誰もいないあの家で、ずっとお前のことを考えてた」

そう言って、こちらを睨む。
石月さんは、こわいくらい真剣な表情だった。

「もう、どこにも行くな」

息もできないくらい、きつく抱きしめられて、幸せで涙が溢れた。
石月さんの腕の中で、何度も首を振り頷いた。





 

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