鬼上司は秘密の恋人!?
目を見合わせ笑い合うと、隣の島から懐かしい声が飛んできた。
「石月ー! ゆきちゃんを泣かすんじゃねーよ! ゆきちゃん、『ステートメント』が嫌になったらいつでもこっちに移っていいからね!」
相変わらずな『コレクト』の副編集長に苦笑いする私の隣で、石月さんがシャーッと歯をむいて威嚇する。
「うるせぇ! だから、ゆきちゃんなんて馴れ馴れしく呼んでんじゃねぇ! 鬱陶しい!!」
「馴れ馴れしいのはどっちだ! いつの間にかゆきちゃんとくっついで、同棲までしやがって! 独り占めはずるいぞ!!」
始まった言い争いに、ハラハラしながら見守っていると、いつの間にか野辺編集長が私の隣にいて笑っていた。
「白井さん、おかえりなさい」
優しい口調でそう言われ、胸が熱くなる。
「はい! これからまた、よろしくお願いします!」
私は大きな声でそう言って、勢い良く頭を下げた。