鬼上司は秘密の恋人!?
 

家のリビングで祐一とふたりで絵本を読んでいると、玄関の方でガタンと物音がした。
引き戸が開く音にぴくんと飛び跳ね廊下に出ると、バタバタと賑やかな足音に、苦笑いする石月さん。
今日はその手にダンボールを抱えていた。

「おかえりなさい!」
「ん。ただいま」

私達ふたりに向かって呆れたように笑いながらしゃがみ、抱えていたダンボールを祐一の前に差し出す。

「なに? これ」
「プレゼント」
「プレゼントぉ!?」

その言葉に顔を輝かせた祐一に、石月さんは頷いた。

「そっと開けろよ」

その言葉に祐一は真剣な表情で頷いて、恐る恐る手をかける。
薄く開いた箱の中をのぞきこむと、祐一の背中が興奮と喜びで逆立つのがわかった。

一体なにが入っているんだろう。
私も祐一の背後から覗き込むと、箱の中から聞こえたカサカサという音。
箱の中から真ん丸の目がこちらを見上げていた。

「ねこちゃんだ!!」

祐一が興奮した様子でそう叫ぶ。
その声に驚いた猫がびくりと飛び跳ね首をすくめる。
手と足に黒い靴下を履いたような、斑模様の猫。

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