鬼上司は秘密の恋人!?
「トーゴ、ぼくじゃま?」
「邪魔だし重い」
「つぶれちゃう?」
「このくらいで潰れるほど、弱くねーよ」
「そっかぁ。すごいね、トーゴ」
まるで親亀の上の子亀のように、ぺったりと石月さんの体の上に乗っかる祐一。
ぶっきらぼうで口が悪い石月さんと、マイペースで無邪気な祐一とのやりとりは、かみあってるのかかみあってないのか微妙で、なんだか面白い。
とはいえいつまでも石月さんの上から動こうとしない祐一に、私は一度料理の手を止め、手を洗って和室へと近づく。
「祐一、石月さんお仕事で疲れてるんだから、困らせちゃだめだよ」
私がそう言うと、石月さんが本から視線を上げ私を見た。
「いやいい。本当に邪魔だったらぶん投げるから」
「ぶん投げるって」
石月さんらしい、乱暴な言い方に苦笑いする。
「トーゴ、おしごとつかれるの?」
祐一は首を傾げながら石月さんの顔を覗き込んだ。
「疲れない仕事なんてねーよ」
「トーゴもいじめられたりするの?」
「ん?」
突然変な事を言い出した祐一に、石月さんは不思議そうに顔を上げて、背中に乗る祐一を振り返る。