鬼上司は秘密の恋人!?
「わぁ! きれい!」
歓声を上げる祐一に見せてあげながら、「どうしたんですか?」と聞いてみる。
「別に。出先で札をくずしたかったから、買っただけ」
お金を崩したかったんなら、眠気覚ましのガムでもコーヒーでも、買うものはいくらでもあるのに、わざわざ祐一が喜びそうな飴を選んでくれたのが嬉しくて、なんだかくすぐったい気分になる。
「トーゴ、ありがとう!」
「ん」
石月さんは満面の笑みを浮かべる祐一に、素っ気なく頷いてソファに座る。
「ね、ゆき! たべてもいい?」
「ご飯食べた後だけど、特別に一個だけね」
そう言って瓶の蓋をあけてあげる。
「飴玉大きいから、のどにつまらせないように、ちゃんと座って食べてね」
私の言葉に頷いて、祐一は瓶の中からレモンイエローの飴玉を選び、嬉しそうに口に含んだ。
小さな頬を膨らませて、カラカラと口の中で飴玉を転がす。
「じゃあ、私は後片付けするから、飴なくなるまでちゃんと座ってるんだよ」
「はぁい」
私が立ち上がろうとすると、目の前のガラスの瓶を、長い指が持ち上げた。
石月さんも食べるのかな、と思って顔をあげると、中から水色の飴玉をひとつ取り出した石月さんが、私の口の中に飴玉を押し込んだ。
「んっ」
驚いた私の口を、石月さんの長い指が塞ぐ。
唇をふにっとつままれた。