鬼上司は秘密の恋人!?
「なにす……!」
「ほら、飴を食べてるときはちゃんと座ってんだろ」
真っ赤になった私を見下ろして笑った石月さんが、私の横をすり抜けてキッチンへ歩いていった。
「そうだよー、ゆき、あめがなくなるまですわってるんだよー」
祐一にそう言った手前、私が立ち上がるわけにもいかず、大人しく隣に座ると、キッチンの方からお皿を洗う水音が聞こえてきた。
「あ、石月さん、私あとでやりますから」
「うるせぇ」
慌てて言った私を、冷たい口調で突き放す。
「でも、石月さんお仕事疲れてるのに」
「お前ほんと鬱陶しい。そういうときは素直にありがとうだろうが」
ちらりとこちらを横目で見て、意地悪に笑った。
「ありがとうございます……」
「ん」
私の言葉に満足そうに頷き、お皿を洗い続ける石月さん。
私は悔しくて、うなりながらテーブルにつっぷした。
「もう……、ほんとずるい……」
こんな風に優しくされたら、ますます好きになってしまうじゃない。