鬼上司は秘密の恋人!?
 
「ずるいってなにが? ゆき、レモンの味がよかった?」

祐一に首を傾げられ、慌てて笑顔でなんでもないと取り繕う。

石月さんが選んでくれた飴玉は、サイダー味だった。
口の中でしゅわしゅわ小さく弾けるような、甘い飴。
隠しても隠しても湧き上がる淡い恋心のように、心の中を騒がせる。

口の中の飴玉は美味しくて、唇に触れた石月さんの指の感触が忘れられなくて、首の裏のあたりがそわそわとくすぐったい。

「ゆき、どうしたの? なんかへんなかおしてるよ」
「なんでもない!」

祐一にそう指摘され、私は顔を隠すようにテーブルに額をつけた。

どうしよう。
石月さんなんかを好きになったって、仕方ないのに。
どんなに好きになったって、報われるわけがないのに。





 
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