鬼上司は秘密の恋人!?
 
「俺こんなつまんねぇインタビューすんの、ヤダ。徳永が行けよ」

編集部で石月さんがごねているのでなにかと思って様子を見ていると、政治家のインタビューの仕事を嫌がっているようだった。

「子供みたいな我が儘を言わないでください」
「こいつ、頭の中に党のマニュフェスト入力したロボットみたいに、型通りのことしか言わねぇんだもん。こんなつまんねぇやつのインタビューなんて、うちの雑誌に載せる価値ねぇよ。どうせ来年の参院選に向けて、必死でご自慢のお顔を売ろうって腹づもりなんだろ」
「そうは言っても、上からの口利きなんですから、察してください」

ぶーぶー文句を言う石月さんを、徳永さんがぴしゃりと叱りつける。
仕方なく石月さんはふてくされながら、資料を手にとって乱暴にめくり始めた。

その資料に貼り付けられた写真をちらりと覗き込む。
爽やかな笑顔を顔に貼り付けた、スーツ姿の男の人。見覚えのあるその顔を思わずじっと見つめていると、石月さんに睨まれた。

「なに、お前もこういう爽やかなイケメン議員様が好きなの?」
「え、いや、そういうわけじゃ……」
「なんでもかんでも外見がよければもてはやされるなんて、ほんとくだらねぇ。イケメンすぎる国会議員とかいって簡単に騙されるやつを見ると、バカバカしくなるわ」

バカにされたことに腹が立って、むきになって言い返す。
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