鬼上司は秘密の恋人!?
「石月さんも社会人なんだから、出版社と政治家の関係とか、お偉いさんの言外の意図を汲み取って、インタビューくらいでガタガタ文句を言わないでもらいたいなって意味だよ」
「あぁ、そういうことですか」
徳永さんの言葉に、ほっとして胸をなでおろす。
「それにしても、石月さん。いつもあんなに乱暴な口調なのに、国会議員を相手にインタビューなんてして大丈夫なんですか?」
相変わらず他の編集部の人と言い合いを続ける石月さんを見て、あの調子で、誰にでも暴言を吐きそうだなと心配になってしまう。
「石月さんはああ見えて、とても有能なインタビュアーなんだよ」
「そうなんですか!?」
「彼はくだらない嘘も、見え透いたお世辞も言わないから。普段から社交辞令を聞き慣れている人ほど、石月さんの誠実な対応に心を開いちゃうんだよ」
「へぇ……」
「ただし、自分が尊敬しない相手だと、インタビューするまでものすごくゴネるけどね」
「徳永さんも大変ですね」
私がそう言うと、徳永さんは肩をすくめて小さく笑った。