鬼上司は秘密の恋人!?
「弁当?」
「あ、おかずがあまったから、なんとなく詰めただけで……」
「俺に?」
「いや、迷惑、ですよね……、手作りのお弁当なんて」
「いる」
「え?」
ぽかんとしているうちに石月さんは手を伸ばし、私の背後からお弁当箱を取り上げる。
「ゆきーっ、ようちえんー!!」
玄関から祐一の声が響いて、石月さんは笑いながら私の背中を押した。
「ほら、行って来い。チビが待ってるぞ」
「あ、はい」
ぽかんとしながら頷くと、石月さんはひらひらと手を振った。
ぺこりと会釈をして、慌てて玄関へと急ぐ。
石月さんがお弁当を受け取ってくれた。
たったそれだけのことが嬉しくて、なんだか足取りが軽く感じた。