鬼上司は秘密の恋人!?
 




大騒ぎの編集部で自分に出来る手伝いをしていたけれど、石月さんにさっさと帰れと言われ、いつも通りに定時で帰ってきた。
祐一とふたりで夕食の用意をして、テーブルにつく。

「おそいね、トーゴ」

祐一が何度も時計を見てはそうつぶやく。

「うん、急にお仕事でトラブルあったから、仕方ないよ。先に食べよう」
「うん……」

祐一はしょんぼりと肩を落として頷く。

テーブルの上いっぱいに並んだ料理。
私と祐一がふたりで準備した夕食だ。
実際に作ったのはほとんど私だけど、祐一も野菜を洗ったり、お皿を並べたり、できるお手伝いを頑張ってくれた。

たくさんの料理を前に、ふたりきりで「いただきます」と手を合わせる。

その時私のスマホが鳴った。
慌てて着信を確認すると、石月さんから。

「トーゴから!?」

目を輝かせてそう聞く祐一に頷いて、スマホを耳に当てた。

「もしもし」
『あー、白井? 悪いけど今日は帰れそうにねぇ』

一瞬してしまった淡い期待が、その一言で落胆に変わる。

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