こんなに好きなのに
「なに落ち込んでんの!」
「夕菜…なに?」
「あんたが落ち込んでるって翔から聞いたから…どうしたの?」
「……俺って頼りない?」
「ん?あんたが頼りないわけないじゃん。」
「じゃぁ、何でほのちゃんは俺には言ってくれへんねん。」
「………」
「翔君には言うのに…」
ただの嫉妬…ほのちゃんと翔君は高校一年の時から知り合ってて…俺とほのちゃんは、まだ出会って4ヶ月…短い。
「あの二人はね〜幼馴染みなの。」
「幼馴染み?」
「そぅ!両親が親友でね?小さい時から仲良しで…私だって嫉妬しちゃうよ。あの二人は友達よりも家族よりも…深い関係だからね。」
「…そんなん…俺、勝ち目ないやん…」
だって、あの二人には…深い絆があって…
「…ははっ…」
渇いた笑いしか出てこない。
「お前はバカか?」
「…翔君。」
「夕は穂香が好きなんだろ?勝ち目あんじゃん。」
「………」
「なに拗ねてんだよ。穂香はただお前に心配かけたくねぇだけなんだよ。お前の前ではカッコいい完璧な穂香でいたいんだよ。」
「何でなん…?」
「完璧な自分をお前が好きになったと思ってんだよ…」