こんなに好きなのに
「もーこんな時間!」
閉店時間は9時…もう8時過ぎだった。
「最後は定番のあれやろ!」
大路君が指を指したのは観覧車だった。
「うん。」
少し並んだらすぐに乗れた。一周約30分。ちょうど閉店時間に間に合う。
「綺麗…」
観覧車からみる夜景はすっごく綺麗だった。
「綺麗やな……」
そぅ言ったきり…大路君は何も話さない。どうしたんだろ?
「お……夕陽?」
「ほのちゃん…これ真剣やから。」
「ん……」
大路君の目は真っ直ぐで真剣だった。そして、ゆっくり話し出した。
「……俺な、高校入るまでほんま…人を好きになるとは思わんかった…。でも、ほのちゃんに会ってほんまに好きになった。本気で……好きになった。」
「………うん。」
「たぶん、いや絶対にこの先もほのちゃんしか好きにならん。」
「………」
「二年後…俺がほのちゃんと同じ大学に受かったら、ちゃんと言うから…今は………」
そぅ言って私の手をとる大路君。
「………っ………!」
「予約な?」
「ありがと………」
左手の薬指に綺麗に光る指輪……夜景よりもずっと綺麗だよ……。