こんなに好きなのに



「………あ!今日ね、ここら辺で食事会があったの。だから着物なんだ………」


「そうなんや。めっちゃ綺麗。」


「…ありがと。」


綺麗なんて照れるな、やっぱり。


「…何か隠してる?」


「どうして?」


「秋休みぐらいから…変やから。」


「何も隠してないよ?」


「だったら………」


「穂香っ!!」


「…………」


この声………


「誰ですか?」


大路君が低い声で相手に言う…


「お前こそ誰だ?穂香を離せ…」


「………無理や。」


「どうして?」


「ほのちゃんが嫌そうにしてるから!」


「………」


「穂香、早く来なさい…」


「ほのちゃん?」


何も言えない………だって………私は………


「お父さん……私は………」


「ほのちゃんのお父さん?」


「穂香!!我が儘を言うな!早く帰るぞ!」


そぅ言って私の手を引っ張り……むりやり連れて歩く。



< 184 / 270 >

この作品をシェア

pagetop